『関心領域』観てきました


観てきました。

映像に悲惨なシーンはないとは訊いていたものの、そうではないにしても思いっきり陰鬱な気持ちにさせられるんだろうなと覚悟しつつびくびくして観たのですが、そういう類いの映画ではありませんでした。

なんというかこの映画は、観客の持つアウシュビッツへの陰鬱陰惨なイメージを人質に取って、直接そこには切り込まずに普通の家族を淡々と見せつつも、常に見えたり聞こえたりする背景の塀や煙突や遠くの乾いた銃声によって、観客を常に緊張させ、さらに時折発せられる不気味な音響で脅しつつ、淡々と人間性を描いている。みたいな感じでした。

戦争の悲惨さとかホロコーストの異常さ狂気などではなく普通の人間の、他所の世界への無関心さや想像力の欠如をゾッとするレベル感で描いていたように思います。


芸術性がとても高く、社会派現代アートの映像作品やインスタレーションを見ている様でした。

予告やポスターを見てビビットな映像なのかなと勘違いしてたのですが、なんか明度というか彩度を落とした画面で、曇っている時は普通なのですが、晴れた日の屋外の雰囲気が何とも言えないものがありました。


そして、今のシーンって何?何の意味があるの?的な事が多くて、そして分からずじまい。今回も予習ゼロだったけど、予習してたら意味が分かったのか、予習しても分からなかったのか。結局のところ日本人が高校の世界史とか、人生で何本か陰惨なホロコーストの映画を観た経験とかでは『今のシーンの意味』の答えは分からない。東ヨーロッパで育った人でないと分からないんだろうなどと勝手に思っていたけど、帰宅後YouTubeの解説動画みたら別にそういうものでもなかった。私の多くの疑問点は知識や教養のなさというより注意力とか想像力のなさによるものだとわかりました。

仮に予習するならルドルフ・ヘスの生涯的なところを予習して行けば違ったのかも知れません。

そもそもヘスが主人公(主人公はもしかして奥さんか?)ということも知らず、その上ヘスについても『あれ、ヘスって副総統でなかったっけ』という低いレベルの知識だったので、少なくとも最低限その辺は予習して行けば良かった。(副総統もルドルフ・ヘスだけど別人)

さらに、これどこの国の映画なんだろう?ドイツやイスラエルは関わっているの?監督はどこの国の人なんだろうと、それが気になって見ておりました。それさえ予習なしが悔やまれる。

ちょっと文句をいうと、今のシーンって何?みたいなのが多くて、ちょっとイヤらしい気はしました。

この映画はアウシュビッツでなくても描けるような気がしたけど、観客の持つイメージを人質に取れるだけのテーマとなると、やはりアウシュビッツなのかなと思いました。

なんか、見終わってちょっと塀に囲まれたガザ地区が思い浮かびました。


※帰宅後ググって読んだ記事:
父はアウシュヴィッツ強制収容所の所長でした それでも父を愛している!独女性衝撃の告白 (その1)


父はアウシュヴィッツ強制収容所の所長でした それでも父を愛している!独女性衝撃の告白 (その2)





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