2024.09.20(Fri) 丹波川 道の駅たばやま → お祭(5.4km)
曇りのち晴れ(小河内 max 30.8℃) 水位:丹波山:-0.60、下保之瀬橋:-9.35(9/19 24:00) → -9.37(9/20 24:00)
13年ぶりの丹波川ロアーでボッコボコのメッタメタ
立志編(準備と計画)
モチベーションを上げていく
行くと決めるまでにえらい時間がかかりました。
今年に入ってFaceBookとかで下っている記事を見かけまして、なんとなくまた行ってみたくなったのですが、Lowerとはいえ丹波川ですからビビります。
13年前の自分のレポートを見直してみると緊張感が蘇ってきて、なんか具合が悪くなってくる始末。
有名なT字路の落込みの動画などを見た日には、みぞおちの辺りがぞわぞわってなります。
問題は、この13年間で果たして自分は成長したのか?それとも衰えたのか?
成長したと思いたいけどちょっと怪しい。少なくとも確実に体力は落ちている筈です。
しかし、球威こそ衰えたものの打たせて取る頭脳派ピッチングで、むしろ華麗に岩を交わしながら難所を次々とクリアしたりしないだろうか。
出来れば、晩年の山本昌の様に、体力は落ちているけど技術は向上していると思いたい。
まあ、後半のT字路の落込み以外は何とかなるような気がする一方、問題のT字路の落込みはFaceBookの最新動画を見ると、なんと落ちたところにログが刺さっているではありませんか。
しばらくは「これは無理。君子危うきに近寄らず」と考えないようにしていたのですが、どうしても気になります。
いろいろと怖気づきはするものの、結局のところ「まあ一度下ったんだから何とかなるだろう」というところへ思考が向かいます。
ひと月くらいかけて少しずつモチベーションを上げて行き、漸く行こうかなという境地に達した時、ふとあることに気づいてしまいました。
熊とかいるんじゃね?
なんか嫌な事に気づいてしまいました。
どう考えてもいそうです。
少なくとも御岳あたりの100倍くらいはいそうです。
まあ、たぶん実際に遭遇してしまう確率は10%にも満たないだろうとは根拠レスに思いますが、今年は方々に出没して死傷者のニュースも見ますからやはり気になります。
13年前は熊のことなんて全く気にしなかったのに。
思えばあの頃は、怖いのはヒグマであって、ツキノワグマはプーさんに毛が生えたようなものくらいに思っていました。
どうしよう。。。
手っ取り早く思いつく防御システムは「熊撃退スプレー」です。
ところが検索してみると、なんと安いのでも6700円もするではありませんか。
6700円って、飲みに行ける金額です。
もったいないというのもありますが、果たして北海道ならともかく、本州の川下りで6700円も出して持つべきなのか?
心配し過ぎの過剰装備の様に思えましたが、やはり万一の時のダメージが大きすぎますから、迷った末に購入しました。
熊撃退スプレー(Amazonリンク)。あぁ6700円。
物は単なるスプレー缶です。6700円も取るのだから、どうせならドミネーターとか、デッカードブラスターとかの形にして欲しい。
ついでにポイズンリムーバ(1680円)もポチります。(Amazonリンク)
これは要るかなあとも思ったのですが、確率的には、
[クマに襲われる] < [マムシに咬まれる] < [スズメバチに刺される]
だと思うので、ググって吸引力の高そうなのをポチりました。
絶望的なバスの便
かくして、防衛装備も万全になりまして、あとはいつ行くか。
そう、バスの便が絶望的に少ないのです。
平日は日に3本。
ゴールに予定しているバス停「お祭」の発車時刻は、7:38、15:18、17:58。
7:38のバスに余裕を持って乗るには、家を5時過ぎには出ないといけません。
出発地点に車を置いて、15:18のバスで戻るという手もありますが、ちょっと時間が読めません。
13年前は、漕いでいる時間は52分でしたがスカウティングばかりして、スタート/ゴールで3時間。
初ルートではないからスカウティングは前回ほどかからないとは思うものの、一箇所で長考してしまうかも知れません。
どうしたって余裕を見ざるを得ませんから、順調に下ってしまうとかなり長い時間を持て余すことになります。
一方、土日の本数は倍の6本。
9:13、10:08、11:48、13:58、15:23、17:55。(※10:08のバスは9月末まで)
9:13だと理想的ですが、問題は混雑です。
西東京バスに問い合わせてみると、土日は混んでいるが「お祭」に行く頃にはだいぶ降りているので混んでいることはないだろうとの事。
公共交通機関の混雑度を気にするのは、大荷物なダッキー乗りの宿命です。
候補日は、9/20(金)か9/21(土)。
土曜は別の予定を入れたいというのがあったのと、バスが空いていたとしても釣り人は多くなるだろうというのと、天気予報的には圧倒的に金曜の方が条件がいいという事もあって9/20に決定します。
また、夕方の雷雨の可能性も考慮に加えて7:38のバスを目指すことに。
丹波川へ。装備とウェア。
丹波川へ
当日、4時に起床。4:59出発。「お祭」着は6:36。
バスの時間までの約1時間で川の様子を観に行きます。
車は、バス停の100メートルくらい上流側の退避スペース的なところに駐車。
さらにそこから50メートルくらい上流のガードレールの切れ目から川に降りられます。
降りて行くのに4分くらい。
その先には謎のつり橋があります。
つり橋の少し手前を下流側に行くと川に降りられます。(前回経験済なので今回は川原までは行かず)
この橋はそこそこ揺れるし、何と言っても『床の板が朽ちてる感マックス』で少し怖い。そして誰が使っているのだろうかというところがかなり謎めいています。
役場行のバスは7:38。
スタート地点の最寄りのバス停「丹波山温泉」到着は7:51。
乗ってっているのは13分ほどですが料金はなんと420円。池袋から所沢に行くより高い。
ちなみに乗客は私だけ。
バス停から坂道を降りると道の駅があって、そこから川向こうの「のめこい湯」に渡るつり橋の上流で出発準備。
安全装備
ちなみに、本日の安全装備がこちらです。
左上から時計回りで、ポイズンリムーバ(1680円)、少し錆びてるビクトリノクス・クラシック、ホイッスル、熊よけの鈴(数年前に購入して本日デビュー)、熊撃退スプレー、スローロープ。
ポイズンリムーバ、熊よけ鈴、熊撃退スプレーが本日用でそれ以外は通常装備です。
あとは写真にはないですがマキロン的なのとバンドエイドとクエン酸飴数個(いずれも通常装備)。
他にも、本日の装備は普段とだいぶ違います。
途中でコーヒーを飲んで寛ぐつもりはないし、途中でお昼を食べるつもりもありません。
したがって、ケトル、シェラカップ、バーナー、コーヒー、水はなし。
艇の機動を少しでもよくするために身軽にしておこうという狙いもあります。
おにぎりもなし。
代わりに、非常用にカロリーメイト1箱(フルーツ)。
水分は、いつも通りの麦茶のペットボトル2本。
ウェア
上:化繊のTシャツ2枚+パドジャケ。
下:1.5mmのネオプレーンの長ズボンと化繊の短パン。
長ズボンを履くのは、水温対策もありますが(晴れていたとしても川まで陽が届かない事が多い)、クリークなので打撲・擦傷への備えを重視しました。
ちなみに、金曜の予報は晴れ。下界では猛暑日の予報。標高の高い丹波山村も最高気温34℃の予報です。
という事で、丹波川Lowerセクション、エキスパートならチョコチョコって簡単に下ってしまうコースですが、熊の事も含めて、スーパー大冒険級になってしまいました。
ダウンリバーレポート
岩に張り付く
8:05、スタート地点に到着。
空気は念入りに、パンパンに入れます。
予報は晴れだったのに、天気は曇り。
水温は15℃。
気温も高くないし日も差していないので、艇を水に浸けても張りが落ちません。
準備中に短いロッドの釣師の方に「これから出ますか?」と声を掛けられます。
ハイと応えてスミマセンと謝ったら、全然問題ないですとフレンドリーな反応。
丹波川の神様と川の神様それぞれにダウンリバーの無事を思いっきりお願いします。
8:41スタート。
丹波山の水位計はいつも通りの-0.60ですが、川の水には微かに濁りがあります。
たぶん前回よりは水量が多いと思われます。
後になって気づいたのですが、[丹波山]の他にも[下保之瀬橋]なる観測所がありました。
[下保之瀬橋]は節電の為に1日一回の計測の様で、9/19の24:00が-9.35。9/20の24:00が-9.37でした。水分水質DBには登録されていないので普段がどうなのかはよくわかりません。
スタートしてつり橋をくぐって、最初の右カーブを曲がると、先ほどの釣り師の方。
ご挨拶して通過。
しばらく行くと押垣外橋のところに、またも短いロッドの釣り師の方がいます。
ご挨拶するとここでもフレンドリーな反応です。
たぶん、鮎の友釣り等と違って、フライフィッシングは竿を頻繁に振るから、カヌーが通る事での迷惑度が低いのかも知れません。
あとはやっぱり、鮎師の方が「月刊 釣り!(実在するか知りません)」とか読んでそうなのに対して、フライの方はビーパルとか読んでいそうで、なんとなく安心感があります。
押垣外橋を過ぎると、左岸側に東キャンプ場。
前回は東キャンプ場の先の左カーブでいきなりスカウティングしましたが、今回はそのままゴー。
13年前はスカウティングしまくりまくりで時間が掛りましたが、この分だと案外早くゴールするかも。と、この時点では浅はかにも思っておりました。
水色の丹波川水管橋の先に3人目の釣り人。
今度は割と短めののべ竿の方です。
やはりフレンドリーで、どこまで行くのと訊かれて「お祭」と応えるとびっくりされていました。
8:49甲武キャンプ場を通過。ここまで8分。つり橋を潜るといよいよ人の気配のしない領域へ。
瀬の感じとしては、隠れ岩や水面に少し顔を出した岩がゴロゴロしているというのが多いです。
巧みによけたり、避けきれず無理矢理乗り越えたりして進みます。
甲武キャンプ場を過ぎるとひと気がなくなる
そして、5分くらい経った頃。
小岩ゴロゴロの瀬を避けながら下っていたのですが遂に避けきれず岩に横づけ。
これは場所が悪かった。張り付きです。
岩に張り付く
ちょうど艇の真ん中で岩に当たってしまい完全にロックされてしまいました。
水圧で張り付いて押しても引いても動きません。
その内、艇がくの字に歪み始めます。
空気はパンパンにいれていましたから、この時は破裂するのではと心配になりました。
ここで破裂したらどうやって撤退するんだろうかという考えが少し頭をよぎります。
どうにもこうにも動かないので、バウ側のベルト状の部分をぐいぐいっと押したり引いたりを繰り返して、少しずつ艇を揺らして行きます。
格闘すること約3分、漸く岩から外れ、離脱に成功。
それにしてもBanditは余りにも頑丈で惚れ直してしまいました。
進水して16年目。出艇はこれまで227回、1976kmを漕いでいます。なんと丈夫な艇。
さすがに今回はダメージがあるかもと思いましたが、その後もゴールまで問題なし。
幸い沈には至りませんでしたが、これはちょっと気を引き締めて行かないといけません。
その後もゴロゴロした感じの瀬やちょっとした落込みなどが続きます。
洞窟みたいな瀬
そして、暫く漕ぐと「洞窟みたいな瀬」に到着です。右岸に上陸してスカウティング。
ここは瀬の先が狭い峡谷になっているのですが、見た感じ洞窟の様に見えます。
なにかこう、吸い込まれそうな感じがします。
この先がどうなっているか知らなかったとしたら、ちょっと下る勇気は出ないでしょう。
そして、洞窟までの間はゴロゴロ・ゴツゴツした瀬。
スカウティングでルートを決めますが、岸から見るのと艇から見る景色は微妙に違うし、それ以前にボートコントロールもダメダメで思った通りに行きません。
それでも何とか洞窟の瀬をクリア。
峡谷部に入って数分漕ぐと保之瀬橋が現れます。
この橋をくぐると川幅が広くなってきます。
程なくして右岸に保之瀬の集落。
下保之瀬橋から少し下った先に釣り師の方が1人。糸は垂れていませんでした。
橋を過ぎて数分も経つと、川幅が狭くなって再びひと気のない世界へと入って行きます。
赤い岩のある瀬
ゴロゴロした瀬とかちょっとした落込みが続き、時にスカウティングしながらクリア。
そして、「赤い岩のある瀬」に到着します。
左岸に艇を寄せ、上陸してスカウティング。
あーでもないこーでもないと迷った末、なんというか、大体の感じを仮決めしてあとは臨機応変に対応する事にしてゴー。
しかし「じゃ、そんな感じで」というスタイルは仕事においても川下りにおいても良い結果につながりません。
判断は遅れ気味になり、決めた後も動作は緩慢に。
でも今回はそれ以前に、漕ぎ出して間もないところで隠れ岩に補足される始末。
色々あがいて離脱したものの後ろ向きに。
なんとか立て直したものの、その後、赤い岩を避けられず1回目の沈。
赤い岩の瀬で、赤い岩にぶつかって第一の沈
第一の沈
少し流されて、エディ的なところで再乗艇。どんまい。
その後、幾つかの瀬とちょっとした落込みをクリアした後の、とあるゴツゴツした瀬。
集中力を欠いていたのだろうか。ここで岩を避けきれずに2度目の沈を食らいます。
少し流された後、なんとか再乗艇したものの即座にバランスを崩して3度目の沈。
さらに漂流しながら1メートルくらいの落込みに突入。
この時に水中で後頭部を岩にぶつけますがヘルメットのおかげでノーダメージ。ヘルメット偉大です。
岩にぶつかって第2の沈
第二の沈
流された先で再乗艇に失敗して第3の沈。そのまま落ち込みに突入。
第三の沈
1度の張り付きと3度の沈でもうヘロヘロです。
ぜんぜんダッメダメの体たらくですが、唯一の肯定的要素は3度の沈でパドルも艇も離さなかった事。
何度となく手を離してしまいそうになりましたがなんとか堪えました。
ソロの場合、艇とパドルの確保は最重要です。
とは言え、左手で握っていたパドルが岩に引っ掛かり、右手で掴んでいたボートが水圧で引っ張られたせいでブレードが変形してシャフトも微妙に曲がります。
岸に寄せて、ブレードは足で踏んでシャフトを引っ張って修正。シャフトは微妙に反れたまま続行です。
この時点でもはや体力は残りわずか。
どこだったか忘れましたが、体力回復のために非常用のカロリーメイトを2本食べます。しかし、2本のカロリーメイト程度では失われた体力は回復しません。身体も濡れて微妙に冷えています。温かいコーヒーが飲みたい。温かいお風呂に入りたい。
これ以後、体力気力集中力瞬発力その他諸々、急速に低下していきます。
3度目の沈の後も似たような川相が続きます。
疲れていてどおってことない岩に引っ掛かりまくり。
そして、満身創痍な状態で、いよいよラスボス「T字路の落込み」の登場です。
ラスボス T字路の落込み
まずは左岸に上陸してスカウティング。
なんか13年前と違ってごうごうと、水量たっぷりな印象です。そしてログ。
早くも「こんなのどうやって行くの?」モード。
左岸からスカウティング
右岸からスカウティング
T字路の落込みは、厳密にいうと『πの字』の落込みです
前回は中央(πの足の右側)を落ちてT字路を左に抜けました。(上の写真のピンクのコース)
その時は、最後は後ろ向きになりましたが無事にクリア。
ところが今回はそう簡単ではなさそうです。
中央を落ちたなら、そこには前にはなかったログがそびえています。
これはかなりプレッシャーです。
ログに加えて水量も多く前回より難易度が上がっています。
仮にログをうまく避けたとしても、落ちる先はもの凄いボイル。
なんとかボイルに耐えたとして、T字路を左岸に向かうには凄い流速差。ちょっとうまくやれそうな気がしません。
では中央を落ちて、T字路を右へ抜けるのはどうでしょうか。(水色のコース)
たぶん落ちた時点で艇は左を向いているでしょうからボイル上で180度回頭が必要です。
不安定なボイル上でうまくやれる気ゼロ。
では、真ん中を落ちる前から勢いを付けて右側に飛ぶというのはどうでしょうか。(緑のコース)
おおっ、ブーフです。しかも斜めブーフ。
ちょっとそれはあまりにも上級技術です。才と師に恵まれ、長年の過酷な訓練に耐え抜いた者だけが身に着けることのできる禁断の奥義です。
ワタクシのごときヘタレ者が試そうものなら右に向けて落ちた瞬間に横になってフリップ間違いなし。火を見るよりも明らかです。
では最後の手段、左側を落ちてそのままT字路の左へ抜けるのはどうか。(オレンジのコース)
13年前は今回より水量が少なく、最初の落込み部分に岩が顔を出ししていたので、選択肢に入らなかったのですが、今回の左コースは水量が多くて勢いがありますから行けなくはないかも。
とはいえ、隠れ岩があって流れがかなり複雑ですし、落ちた直後の岩を右に避けて次の岩を左に避ける必要があります。
落ちた直下に複雑な隠れ岩があるのはリスクですが、水に勢いがありますからヒョイヒョイヒョイと華麗にクリア出来るかも知れません。
左岸から見た後、次は渡渉して右岸からスカウティング。
そのあと左に戻って、更に再度右岸に渡ってまた左岸に戻ってと、都合40分の長考スカウティング。
ちょっと無理じゃね感がメラメラと湧いてきます。体力気力集中力もほぼエンプティー。
ポーテージという5文字も頭に浮かびますが、ここでのポーテージはかなり大変そう。
悩んだ末に、正常性バイアスフルパワーで、左から落ちてそのままT字路の左に抜けることにしました。一か八かです。
いざスタート。
しかし、いろいろルートをイメージした事は全く、全然、何の意味もありませんでした。
最初の落込みの手前にある左と中央を分ける岩に乗り上げてしまいます。
なんという体たらく!
そのまま回頭しながらフリップして落込みを転落。
その後、T字路の壁の部分の岩に辿り着きます。
なんとか壁の岩によじ登り、頑張って岩の向こう側に艇を移動させて、ほうほうのていで脱出。
第四の沈(T字路の落込み)
これは本当に何事もなくて良かったです。
それにしても初手から岩に乗り上げてしまう大失態。
張り付きと3度の沈で消耗し、微妙に体も冷えて完全にキレもパワーも消失していました。もはや魂の抜け殻状態。
水に落ちた犬は叩け
しかしです、丹波川の神様はこれで許してはくれた訳ではありませんでした。
最大の難所を過ぎたとはいえ、この後も時折スカウティングの必要な瀬が現れます。
そして、5回目の沈。もはやサンドバッグ状態。
第五の沈
その後も時折ゴツゴツした瀬とちょっとした落込みが現れます。
後で動画をみたらなんで避けないの?という感じで岩にぶつかったり、大した事のない落ち込みでフリップしそうになったり。
完全に電池切れです。
そして、この頃になって漸く日が差して来ます。
下り始める前は、晴れていたら水が綺麗だろうな、潜ったりしようかなと思っていたのですが、もはやそのようなエネルギーは残っていません。
淡々と漕いでいたら、右岸に釣り人が3人。挨拶して通過。たぶんフライの方たち。
ついで、謎のクレーン施設が登場。
クレーンを過ぎると川幅も少し広くなっていい感じですが、もはや楽しんだり味わったりする余裕なし。早くゴールしたいだけの状態です。
そして、一気に川幅が拡がって左から後山川が合流。
もうゴールはすぐそこです。
程なくして「お祭」のつり橋が見えて来ました。
そして、11:41、精魂尽き果ててやっとのことでゴールにたどり着いたのでありました。
辛かったけど、少しの打撲だけで無事にゴール出来て本当にヨカッター。
もう、丹波川の神様と川の神様に何度もお礼言いまくりました。
スタート: 8:41。
ゴール :11:41。
結局13年前と同じ、3時間を要しました。
後で動画を確認したら、漕いでる時間は約1時間23分。半分以上がスカウティングでした。
前回もやはり3時間で、漕いでいるのが52分。
今回の方が漕行時間が掛っていますが、それだけアクシデントが多かったという事でしょう。
そして、前回は、沈2回でT字路の落込みもクリアして、ゴールした後はガッツポーズしましたけど、今回は自己肯定感ダダ下がりで肩を落として撤収。
写真にある木の右側から国道に向かって上がるルートがあるのですが、はじめのうちは、かなり急峻です。
前からあったのか記憶がないですが、登山の鎖場っぽい感じでトラロープが設置されていました。
人間だけなら大丈夫でしょうけど、艇を背負っていたらこのトラロープなしだと登るのはきつい感じです。
次に下る誰かと自分へ。反省・注意箇所・注意すべきこと
フットプレイス
これがあればずいぶん違ったと思います。もしかしたらいくつかの沈は防げたかも知れません。いやそうに違いない。
足もとの踏ん張りが効かないので、落込みでいちいち体が前にずれます。それによって後傾姿勢になるのでボートコントロールがうまく行きません。今日は荷物が少ないから船首側のドライバッグが小さいせいかと思って、スターン側の少し大きい別のバッグと入れ替えてみたけど効果なし。
当然あった方が良いのだろうけど、前回もなかった訳ですから何とも言えません。
T字路の落込み
やはりポーテージすべきだったのだろうか?と少し思います。
自分でも成功確率は50%あるかどうかだろうと薄々感じながら突入しました。
ポーテージこそ勇気ある選択だと思いながらも、ここを攻めずに見送ったら何しに来たんだろうとどうしても思ってしまいます。
そして、ポーテージしないとして、4つのルートのどれが正解だったのだろうか?
もう一度同じ状況でやるとしたら、と考えてみても正解が判りません。
沈によるリスクについて
T字路の落込み以外の沈もそれなりにリスクがあったと思います。
今回のダウンリバーでは川原で多くの鉄筋や鉄板的なものを見ました。
見たのは川原でだけですが、恐らく水面下にもあるでしょう。
沈して流されて、たちの悪い岩に引っ掛かったり、鉄筋に補足されたりする確率はおそらく十分に低いと思います。
しかし、それでも稀に神代橋の様な事故は起きます。
そして、回数が増えると当然ながら確率は上がる。
沈して水中の障害物に捕捉される確率が仮に0.1%だとしたら、5回で0.5%。
こうなるとちょっと無視できない確率になって来ます。
普段は沈して流されても「運が悪くないから無事だった」と思っていましたけど、今回ばかりは「運が良かったから助かった」という思いを少し持ちました。
ソロのリスク、そして全域が圏外
今回は我ながら頑張ってボートもパドルも流さなかったけど、かなりギリギリでした。
たまたま結果オーライだったとも言えます。
当たり前だけどソロの場合は、ボートやパドルの流失はダメージがかなり大きい。
クリークだと遠くまで流されることはないにしても、場所によってはボートなしではその先に行けない事もあるでしょう。
そして、今回、数回スマホを出してみたけどことごとく圏外でした。
これにはちょっと緊張しました。
もし負傷しても救助が呼べない。その点でソロのリスクはかなり高まります。
ウェアについて
今回は、下は1.5mmのウェット。上は化繊Tシャツの上に、性能的にはカッパと変わりないパドジャケ。
沈を繰り返すことで完全にずぶ濡れ状態でやや寒く感じるレベルでした。
トラブルによる越夜まで考えると、フルドライの方が良かったかも知れないけど、果たして越夜まで想定すべきか?
熊対策について
幸いにも熊撃退スプレーの出番はありませんでしたが、これを携行していることによる安心感は絶大でした。
未使用の人たちがamazonのレビューにズラリと★5つを並べていたのを見て不思議に思っていましたが、今なら気持ちが分かります。自分も迷わず★5つです。
もちろん、実際に効果があるかとか、使いこなせるかという面でも不安はありますが、もう安心感がハンパない。
また、熊よけの鈴は大活躍しました。
ライフジャケットに取り付けたので漕いでいると勝手に鳴るし、スカウティングの際には無闇矢鱈に鳴らしまくりました。
これまた、実際の効果は不明だけど、なんかやってる感があって良かったと思います。
釣師の状況
5組7人。
思ったより多かったですがストレスはありませんでした。
スタート地点から甲武キャンプ場の間に3人。
下保之瀬橋の少し先に1人。
謎のクレーンの先に3人(1組)。
フライかルアーロッド(たぶん)が3組5人、短めののべ竿1人、不明1人。
思ったより多かったし、川幅は広くない割に何の問題もなし。
皆さんフレンドリーでした。
多くの方が通過時は竿を出していなかったからかも知れませんが、あるいは主にフライの方たちだったからかも知れません。
全行程動画
スタートしてからゴールまでの全行程とスカウティングの一部です。
漕いだその後
Data
■河川 :丹波川
■コース:道の駅たばやま → お祭 ( 5.4km )
■用艇:NRS Bandit 1
■メンバー:ソロ
■天気:曇り。最後に晴れ。
■釣師:5組7人。
■水位:微かに濁っていたので少し高い??
・丹波山:-0.60
・下保之瀬橋:-9.35(9/19 24:00)、-9.37(9/20 24:00)
※水分水質DBの観測所はなし。
■水質:綺麗だけど微かに濁りあり
■水温:15.0℃(8:18 道の駅たばやま)
■気温(小河内):気象庁によると最高気温:30.8℃。
■スタート地点駐車場:-
■ゴ ー ル地点駐車場:バス停「お祭り」の少し上流の退避スペース。
■タクシー:-
■電車:-
■バス:「お祭」→「丹波山温泉」(420円)
■昼食:カロリーメイト2本
■服装:上:化繊のTシャツ2枚+パドジャケ、下:1.5mmのネオプレーンの長ズボン+化繊の短パン
4:59頃 出発
6:36頃 お祭り着。(家から52.8km)
7:38 バス停 お祭 発
7:51 バス停 丹波山温泉 着
8:05 道の駅 たばやまのスタート地点着
(カッコ内は経過時間)
8:41 (0:00 - 0.0Km) スタート
8:45 (0:04 - 0.3Km) 押垣外橋
8:45 (0:04 - 0.4Km) 東キャンプ場のつり橋
8:47 (0:06 - 0.7Km) 丹波川水管橋
8:50 (0:09 - 0.9Km) 甲武キャンプ場の吊橋
9:07 (0:26 - -.-Km) 洞窟っぽい瀬 着
9:20 (0:39 - 1.9Km) 保之瀬橋
9:24 (0:43 - 2.3Km) 下保之瀬橋
9:51 (1:10 - -.-Km) 赤い岩の瀬 着
10:24 (1:43 - -.-Km) T字路の落込み 着
(スカウティング41分)
11:05 (2:24 - -.-Km) T字路の落込み 突入
11:34 (2:53 - -.-Km) 謎のクレーン
11:38 (2:57 - 5.1Km) 後山川合流
11:41 (3:00 - 5.4Km) ゴール・お祭りの吊橋
12:39 お祭 発
12:53 のめこい湯 着
13:39 道の駅丹波山 発
修正履歴:
コ
メ
ン
ト
・IPアドレスの一部を表示します。
やまかわさん
すごいところに行ってこられましたね。
ついちょっと前に、丹波川の話題に触れることがあったのですが、私だとどう頑張ってもガイドツアーに参加させてもらってフルサポートでなんとか、という気がしていました。
そして貴重なやまかわさんの犠牲の上に、あらためて私はガイドツアーでないといかんと理解することができました(笑)
262
REI
2024-10-01 22:11:57
131
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REIさん
ご覧くださりありがとうございます。
どの沈もお粗末で、実に不本意な結果となり忸怩たる思いでしたが、REIさんの丹波川理解の一助となれたと知り、5回の沈も無駄ではなかったとの思いに救われております。
今回の敗因は、いつも御岳とか長瀞とか、"あのカーブを曲がるとどうなっているか判っている"ところばかり漕いでいる事にある様に思いました。
予測して先回りするのに慣れてしまって、臨機応変に対応できなくなっているのかなと反省しております。
そして仰る通り、行かれるならガイド付きがよろしいかと思います。
今回、3・4回確認しましたが全て圏外だったという事と、パックラフトはとりわけ沈した時に離れ離れになる確率が高いと思いますので、ソロはリスキーかと。
私もいつかまた、この借りを返しに訪れたいと思います。
263
262
やまかわ
2024-10-01 23:15:39
.92
削除