ムサビの卒業・修了制作展を3日も掛けて観て来た

博物館と美術館

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保護者でもなく、卒業生でもなく、関連業界で仕事してる訳でもなく、ピュアな部外者100%なのですが、ムサビの「卒業・修了制作展」に3日間も行ってまいりました。

去年、「卒業・修了制作優秀作品展」を観て、キラキラと輝くものがある一方で、カオスがあったりと見ごたえたっぷりだったので、優秀作品を選ぶ前の「卒業・終了制作展」とはいったいどんなエネルギーだったりカオスがあったりするんだろうと、ワクワクして観に行きました。

3時間あれば全部回れるだろうと正門をくぐったのですが、なんとキャンパス全域が展示会場。

木曜4時間、金曜5時間、日曜4時間。計13時間たっぷり堪能しました。

映像系とパフォーマンス系を除けばたぶん展示の95%は拝見したのではないかと思います。

これは、入場者の中でもかなり上位ではないだろうか。

ただ、もうヘロヘロのクタクタのボロボロになりましたので、来年からは多少工夫が必要です。

多少文句を言わせてもらいますと、受付で頂くガイドブックは学科ごとの章立てになっています。

卒制展なので、一番はわが子の集大成を見に来る親御さんや、お目当ての学科がある受験生ファーストだとは思うのですが、私の様な一通り全部回りたいという人間にやさしいガイドブックではありません。

2日目になってガイドマップの存在を知りまして、かなり楽になったのですが、それでも校舎までしか分かりません。

校舎に入ってもどの部屋で展示してるのが分からず、無駄な動きがかなり多い。

少しは痩せるやろ!

と言われればそれまでですし、まあウロウロするのも悪くないとは思うのですが、ヘトヘトになりました。足腰辛い。

例えばですね、アプリをスマホに入れたら、今いる校舎のどこに何があるかとかガイドしてくれるとか。

さらにその中でアンケートや投票ができるみたいなのを、デザイン情報学科とかで作れないだろうか?

これ作ったら、間違いなく、「優秀作品展」へGOだと思うのですが。。。

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さて、それはそれとして、この「卒業・修了制作展」は本当に凄いです。

ここにはですね、りとあらゆるものがありました。ありとあらゆるものがあるんです。

まず、分野的な幅の広さは一般人がイメージする『美大』とは全く違います。

絵画、彫刻といったいわゆる「芸術」はもちろんあるのですが、木工、金工、ガラス、陶芸などの素材職人系、カッコいい椅子なんかの家具職人系、デパートやテーマパークやらの展示っぽい空間演出系や、舞台美術、イラスト、フォント、新しいコンセプトの車や自転車などのプロダクトデザイン、建築、地域再開発やビジネスのアイデア、CG、映像、照明、書籍、論文、何かのデバイス、そして訳の分からない物など、展示はありとあらゆる領域に渡っています。

照明ひとつとっても、照明装置そのものの追求と、照明をいかに配置するかというのが別の領域になっています。

怒涛の様な種類と量に圧倒されました。

きっと、自分にとってヒントになる何かが潜んでいるに違いない。たぶん。

よく考えてるなあとか、なるほどそういうアイデアがあったかとか、そういうのがいっぱいあります。

この怒涛の量や種類は、「優秀作品展」では体験できません。

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もう一つは、玉石混交ということ。これも優秀作品展にはない多様性です。

画廊の人が名刺を置いたりする絵や、なにやら目を見張る物や、感心してメモ帳を取り出すようなものもある一方で、沢山の普通の物と、中学生の図工の様(と思ってしまう)な物まで、レベル感も多岐に渡っています。

ここに切なさがあります。

一般の大学ではないですから、みなさん志をもって入学されたと思うのですが、4年の間に自分の才能を見限ったり、あるいは快楽に溺れたり、安きに流れてしまった方も少なからずいるでしょう。

情熱を失ってしまったんだろうなと感じる様な作品もあるし、頑張って、悩んで模索したけど満足のいく成果にならなかったという悔しさみたいなものが伝わって来る作品があったり。

目を見張る様な物かどうかは別にしても、最後まで粘り強く丁寧に仕上げているものもあれば、雑に仕上げているものもあり、出来れば全員が渾身の力で、悔いのないアウトプットを出せればいいと思うけど、なかなかそうはいかない訳で、三十数年前の自分の半造作で、投げやりな、やっつけの卒論(美術とは関係ないけど)がフラッシュバックされ、切ない気持ちになったりしてしまいます。

でも、残念ながらうまく行かなかった人も、これから社会に出たら別の領域で新しい未来が、活躍の場があるんだよと伝えたい。

それに完成度はぜんぜん低いけど、なるほどというアイデアに出会ったりもします。

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それと、もう一つ。

ここには、プロフェッショナルとアマチュアの中間領域の何とも言えない世界があるのです。

今はまだ完成されていないけど明るい未来を感じさせてくれもするし、圧倒的でない、もしかしたら手が届きそうな世界。

それはなんとなく理解しやすかったりもします。

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それでは、目をみはったり、感動したものを幾つか上げておきます。

今回ダントツで感動したのは、この2枚の油絵でした。3日間で観た物の中で一番良かった。ずっと観ていられる。凄くいい。

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そして、いくつかの展示室がそうなのですが、いい感じで日差しが差し込んでいて、それはそれはいい感じのアトリエになっていて、紅茶を飲みながらのんびりクッキーを食べたくなるような空間になっていました。

そして次がこの小松石の彫刻(↓)。(半分しか写ってないけど)

作者は別ですが、榧(かや)の木の彫刻と小松石の彫刻の組み合わせもまた素晴らしくいい感じでした。

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そして、これです。

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あと写真はないですが、10号館でみた「piece of ・・・」と12号館でみた「春水」が良かった。

どれも夏の「優秀作品展」でもう一度観たい。

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来年に向けて

今回、1日目2日目は校舎別に攻めて行ったのですが、純粋に感動するような芸術系の展示を観るときと、空間演出やデザイン系、ビジネスアイデアを観るときでは脳内のスタンスが変わって来るので、多分知らず知らずのうちに混乱しました。

芸術系と、デザイン系で観る日を分けようというのが来年の自分への申し送りとなります。

という事で、3日間怒涛の様なインプットでしたが、なにかしら自分の脳にしみこんで、なにかしら反応したりするといいなと思うのでありました。

それと、素敵な大学で学生さんが凄く羨ましい。

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単一作者の美術展や、単一テーマのエキシビジョンに行くより遥かに面白かったです。

来年もまた行こう!

#ムサビ卒展

#武蔵野美術「大学卒業・修了制作展」

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